肘の運動器疾患(中高年・小児の肘痛)に対するリハビリテーションについて

上腕骨外側上顆炎は前腕伸筋群による付着部障害と考えられており、短橈側縮懇親筋(ECRB)、総指伸筋(EDC)のストレッチングは必須である。その際には、起始部にtraction forceが作用しないような技術操作が大切である。誘発テストは、肘屈曲位と伸展位、回外位と回内位を組み合わせて実施し、伸展回内位で疼痛が強い場合は、ECRB腱、橈骨頭、橈骨輪状靭帯との間で生じるcompression forceが疼痛の誘因であることが多く、外側側副靭帯(LCL)複合体へのストレッチが疼痛緩和に有効である。エコーでは起始部での剥離像や、LCL複合体の肥厚や輝度変化に注目して運動療法を選択する。
野球肘の内側型では、前腕屈筋群、特に円回内筋、橈側手根屈筋(FCR)、長掌筋(PL)、浅指屈筋(FDS)の圧痛に注意し、適宜、選択的ストレッチングを行う。内側側副靭帯(MCL)へのストレステストは、筋肉の圧痛を十分に排除したうえで行ない、疼痛が要因を鑑別する。投球障害肘の中には、烏口腕筋での筋皮神経障害やStruther’sアーケド(上腕遠位内側で上腕筋筋膜と上腕三頭筋筋膜とで形成される神経通過部位)での尺骨神経障害に注意する。前者では肘外側部、後者は内側部に疼痛が出現するが、筋、靭帯には局所圧痛が無い場合には注意したい。
また、慢性の野球肘で、遠投時のボールリリースの際に右肘の痛みが出現している症例に対し、起始部周辺の筋腱、橈骨輪状靭帯や前腕骨間膜などに対しては、鍼治療が有効である場合も多い。肘は、自分でセルフケアがしやすい部位なので、疼痛部位や動作時痛を十分にご本人に理解していただき、日常生活内でoveruseとならないように生活指導をすることが大切である。

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