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(ブログの内容)
・鍼(はり)治療の臨床研究にエコーを活用して
・エコー下鍼(はり)治療は日本が最先端
・ベルリンの国際学会で私が口述発表した内容
・腰椎椎間板ヘルニアと腰椎分離症固定術後の術創部および周囲のFasciaに対して、1回の鍼治療により、体幹ROMと股関節筋力の改善が得られた症例の報告
・Fasciaファシアとは
・術後の傷口に対する治療(ケア)について

 

・鍼(はり)治療の臨床研究にエコーを活用して
2月20日(水)NHKガッテン!「慢性痛しびれが改善!逆子も治る!?東洋の神秘“はり治療”SP」が放映されますね。

http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20190220/index.html

最新の科学を使って、東洋医学の神秘に迫るとても素晴らしい内容なのだと、とても期待しています。
最新の科学の中でも現在、鍼灸の臨床で活用され始めているのはエコー(超音波画像診断装置)です。
番組の中でも使用されていると思います。
私は約10年前から、エコーを活用しながら鍼(はり)治療を行う臨床研究を行っております。

 

・エコー下鍼(はり)治療は日本が最先端

2月17日(日)のブログでもお話させていただきましたが、私は、昨年11月の5th Fascia Research congress(Berlin)で、エコー下鍼(はり)治療に関して世界初の口述発表をさせていただきました。
なぜ、世界初なのかがわかるのか?という話ですが、私は元々、この発表をポスターで発表するように登録をしました。
ですが、New Hypotheses and Experimental Research Methods(新しい仮説と実験的研究法)のセッションで口述発表として採択されました。
3年前に、私が名古屋第二赤十字病院の現在は院長でいらっしゃる佐藤公治先生の脊椎専門整形外科グループと一緒に、中国大連で脊椎整形外科医を対象にして講演をさせていただいた時も、「多分、中国には日本の何十倍も鍼灸師がいると思うが、銭田先生のようにエコーを活用しながら鍼治療を行う鍼灸師は絶対に一人もいない。」と言われたエピソードもございます。
つまり、医師がエコーを活用することは世界では一般的ですが、鍼灸師がエコーを活用することは稀なのです。
つまり、エコー下鍼(はり)治療の臨床研究は、世界では日本が最先端である、ということです。
日本では、日本超音波鍼灸協会(JAU ; https://www.jau-japan.or.jp/)という団体があります。
鍼灸師(医師も参加可能)が、異常なFascia(ファシア)の癒着に対してエコー下刺鍼を行えるようにするために解剖・エコー・触診を勉強するための団体です。

 

・ベルリンの国際学会で私が口述発表した内容

ここで、ベルリンの国際学会で口述発表した内容を簡単にご報告申し上げます。
「A single ultrasound-guided acupuncture session for abnormal fascia improved chronic mandibular numbness for 6 years after orthodontic surgery: a case report」
「歯列矯正術後6年間のしびれと開口制限に対して1回のエコー下鍼治療にて著効した症例を発表し、鍼治療が究極の物理療法と考えて活用している事例」
・https://www.jnos.or.jp/archives/information/978
・https://fasciacongress.org/2018-congress/2018-program/2018-conference-program/
・https://fasciacongress.org/wp-content/uploads/2018-abstracts/144.pdf

 

症例は30代男性。6年前に歯列矯正術を行った。
手術直後より右下顎骨全体にしびれが出現しており、執刀した歯科医にその旨を伝えたが、しばらくすれば治る、と言われていた。
そのうち2週間経過したが症状は変わらず、1ヶ月、2ヶ月が過ぎて歯科医の診察の時に相談したところ、自然と治ると言われた。1年したが、症状は変わらなかった。
今更、どこの歯科医や医師に診察してもらっても、あまり意味がなくなってしまった。そうこうしているうちに6年が経過したが、症状は和らぐどころか徐々にひどくなってきた。
元々明るい性格で、外交的に色々な人と話をするのが好きな方であったが、だんだんと精神的に暗くなっている印象であった。
そんな時に、Facebookの友達経由で私のページを見て、ひょっとしたら何かのきっかけになるかも知れないと思い、治療院に来院した。
初回時の評価は、開口3cm、右下顎角から1cmのところに明確な圧痛点があった。エコー所見は右下顎骨骨縁のFasciaに高エコー像(+)、左は圧痛というほどの所見はみられなかった。
右下顎骨の圧痛部位に、エコー下鍼治療を1回30秒だけ行った。
その結果、開口5cm、圧痛所見はVAS100→0、エコー所見の高エコー像(-)、表情も明るくなった。

 

今回は、口腔外科による歯列矯正術後の症例でした。
歯列矯正術は、口腔内から行いますので、顔面に傷口がある訳ではありませんし、見た目にはわかりません。
顔面の表面から下顎骨の骨縁に向かって深く触診しないと、今回の圧痛所見は見つけることはできないので、それだけの解剖学的知識・触診技術・臨床経験を持つセラピスト(治療家)でないと絶対にわからないものと私は考えます。

 

・腰椎椎間板ヘルニアと腰椎分離症固定術後の術創部および周囲のFasciaに対して、1回の鍼治療により、体幹ROMと股関節筋力の改善が得られた症例の報告

術後、という意味では、脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニア・大腿骨頚部骨折の術後の傷口の周囲も、残存することが多いです。
ここで、腰椎椎間板ヘルニアと腰椎分離症固定術後の術創部および周囲のFasciaに対して、1回の鍼治療により、体幹関節可動域(Range of Motion; ROM)と股関節筋力の改善が得られた症例を報告します。
症例は60代女性です。2002年に腰椎椎間板ヘルニアと腰椎分離症に対して、第2腰椎~第5腰椎(以下、L2~L5のように表記)で後方固定術を行いました (図1・2参照)。

図1 術創部

・Fasciaファシアとは
線維性結合組織と固有結合組織の線維成分の総称であり、皮膚、皮下組織、筋膜、腱や靭帯、脂肪体、髄膜、腹膜、骨膜などが含まれます。
Fasciaファシアの異常が、炎症性疾患として外傷、非炎症性疾患として血流低下・浮腫・overuse・disuseなど、神経障害として末梢神経障害・神経根症状・自律神経症状を起こす可能性が臨床的に考えられていることから、Fasciaファシアの臨床的研究により東洋医学的概念を解明する手がかりになることが期待されます。
Fasciaファシアの組織同士は、互いに癒着することがあります。例えば、筋膜と筋膜、筋膜と浅筋膜、腱と骨膜など、様々な組織間で生じる癒着が、滑走性の低下の原因となりうると考えられます(図2,3参照)。
Fasciaファシアの異常に対する鍼治療の効果に関するメカニズムは、十分に解明されていません。しかし、推察されることとして、鍼の機械的刺激により、Fasciaファシアの癒着が剥離されることが考えられます。
置鍼法の場合は、鍼に対する異物反応や神経性炎症によって局所の血管透過性が亢進し、局所の組織液が増加することが一因であることが考えられます。
雀啄法の場合は、局所血流改善、下行抑制系の賦活、筋の弛緩反射が考えられます。

図2 固定術での骨接合プレートを覆うFasciaの癒着の一例(生体)
(竹井仁監訳:人の生きた筋膜の構造 内視鏡検査を通して示される細胞外マトリックスと細胞,医道の日本社,2018,P145.より引用)

図3 Fasciaの癒着(模式図)
木村裕明ら編: Fasciaの評価と治療 解剖・動作・エコーで導く Fasciaリリースの基本と臨床 筋膜リリースからFasciaリリースへ,文光堂,2017.より引用

 

40代から16年間、看護師として勤務していました。
2019年2月現在は、専業主婦です。当院での初診は2016年4月で、膝と腰の治療から開始しました。

図4 症例の発痛源と鍼(はり)刺激の部位
坂井建雄,松村讓兒監訳:プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学/運動器系,医学書院,2006.より引用

 

治療前後の評価結果は、下表をご参照ください。

治療前後のエコー所見です。

考察です。
本症例の被験者は元看護師で、仕事で坐位姿勢および立位姿勢を長時間続けることが多かったようです。
それにより、腰椎椎間板ヘルニアと腰椎分離症を発症したため、腰椎分離症固定術を受けました。
手術後、腰痛が出現しましたが、それは手術後の椎間の不動性により、術創部周囲のFasciaに負担がかかったことが考えられました。さらに、術後15年経過したことにより、発痛源が術創部だけでなく上後腸骨棘および腸骨稜周囲のFasciaに広がり、体幹と股関節の ROM低下・筋力低下が出現したことが考えられます。
腰部に対するFasciaの発痛源評価において、整形外科テストやactive ROMを実施することにより、Fasciaの違和感が確認できることが示唆されます。
鍼治療の効果に関しては、発痛源に鍼治療を行うことにより、Fasciaの異常が改善し組織同士の滑走性が改善したことが推察されます。
つまり、Fasciaの滑走性の改善が、ROMおよび筋力の向上、疼痛の緩和につながったことが考えられます。
腰部への鍼刺激により、舌診による浮腫の変化が見られたことも、興味深い所見です。

 

・術後の傷口に対する治療(ケア)について

脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニア・大腿骨頚部骨折の術後も、急性期病院に入院している時は抜糸もしていない状態なので触らないことが多いですし、主治医もセラピスト(治療家)が触るのを嫌がります。
そこで、回復期リハビリテーション病院に転院したとしても、その傷口周囲を治療することはあまりなく、術後1年以上経過すると傷口の周囲が瘢痕化して痛くなってしまうことが多く見られます。
この部位も、徒手的運動療法や鍼(はり)治療を行わないと、硬い浮腫(edema)や炎症所見が持続した状態になったままとなり、痛みが持続したり関節可動域(Range of Motion; ROM)制限の因子となったりします。

 

私は昔、病院で理学療法士の仕事をしている時は、入院患者様の手術後のリハビリテーションを担当したときは、抜糸後で医師からお風呂に入っても良い、という許可が出たのであれば、私は必ず主治医に許可をもらって傷口の治療をしていました。
このブログを読んだ患者様やセラピスト(治療家)は、心当たりがございましたら積極的に対応してください。
もし、傷口が痛くてお困りの方がいらっしゃいましたら、遠慮なく銭田治療院にご連絡ください。

セラピスト(治療家)の方も、身近にこのような方がいらっしゃいましたら、お気軽に銭田治療院にご連絡いただき、ご紹介くださればと存じます。

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